私たちが毎日使っているWebサイトやスマートフォンアプリ、会社のメールシステム。こうしたITサービスが止まらずに動き続けているのは、その裏側で「インフラ」を支えるエンジニアがいるからです。
インフラエンジニアは、未経験からIT業界に入る際の入り口として選ばれることが多い職種のひとつです。この記事では、インフラエンジニアの仕事内容や必要なスキル、未経験から目指すための具体的なステップをわかりやすく解説します。
目次
インフラエンジニアとは
「インフラ」とは、英語の「インフラストラクチャー(基盤)」の略です。IT業界では、システムやサービスを動かすために必要なサーバー、ネットワーク、データベース、クラウド環境などの土台部分を指します。
インフラエンジニアは、この土台を設計・構築し、安定して動き続けるように運用・保守する仕事です。アプリケーションを作る開発エンジニアが「家の中の設備や内装」を作る人だとすれば、インフラエンジニアは「土地や電気・水道・道路」を整える人にたとえられます。どれだけ優れたアプリケーションでも、インフラが止まってしまえば使えなくなるため、社会にとって欠かせない仕事です。
インフラエンジニアの主な種類
インフラエンジニアは、担当する領域によっていくつかの種類に分かれます。
サーバーエンジニア
Webサイトやシステムのデータを処理・保管するサーバーを扱うエンジニアです。サーバーの機器を選定したり、OSやミドルウェアをインストールして設定したりと、システムが動く環境を整えます。
ネットワークエンジニア
コンピューター同士をつなぐネットワークを設計・構築するエンジニアです。ルーターやスイッチといった機器の設定を行い、社内や拠点間、インターネットとの通信が安全かつ快適に行えるようにします。
クラウドエンジニア
AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azure、Google Cloudなどのクラウドサービスを使ってインフラを構築するエンジニアです。自社で機器を持たずにクラウドを利用する企業が増えていることから、近年ニーズが高まっている分野です。
インフラエンジニアの仕事の流れ
インフラエンジニアの仕事は、大きく次の4つの工程に分かれます。
| 工程 | 主な仕事内容 |
|---|---|
| 要件定義 | お客様の要望を聞き、どのようなインフラが必要かを整理する |
| 設計 | 必要な機器の構成や性能、ネットワークの構成などを決める |
| 構築 | 設計書に沿って機器を設置・設定し、システムが動く環境を作る |
| 運用・保守 | システムを監視し、障害の対応や定期的なメンテナンスを行う |
未経験から入社した場合は、運用・保守の工程からスタートすることが一般的です。システムの稼働状況を監視し、異常があれば手順書に沿って一次対応を行ったり、上位のエンジニアに報告したりします。そこで経験を積みながら、構築、設計と、より上流の工程へステップアップしていきます。
運用・監視業務の1日の流れ(例)
未経験から担当することの多い運用・監視業務では、たとえば次のような流れで1日を過ごします。実際の業務内容は企業や現場によって異なりますが、イメージをつかむ参考にしてください。
| 時間 | 業務内容 |
|---|---|
| 9:00 | 前の勤務者から引き継ぎを受け、夜間に発生したアラートや対応状況を確認する |
| 10:00 | 監視画面でサーバーやネットワークの稼働状況を確認する |
| 12:00 | 休憩 |
| 13:00 | 定例作業(バックアップの確認、ログのチェック、アカウントの登録作業など)を行う |
| 15:00 | アラートが発生した場合は、手順書に沿って一次対応し、担当のエンジニアに報告する |
| 17:00 | 当日の作業内容や対応状況をまとめ、次の勤務者へ引き継ぐ |
システムは24時間動き続けているため、運用・監視の現場ではシフト制で勤務し、夜間の勤務がある場合もあります。求人を探す際は、勤務形態もあわせて確認しておくとよいでしょう。
インフラエンジニアに必要なスキル
インフラエンジニアとして活躍するために、特に大切なスキルは次のとおりです。
- OSの知識:特にサーバーで広く使われているLinuxの基本操作やコマンドの知識
- ネットワークの知識:IPアドレスやルーティングなど、通信の仕組みに関する基礎知識
- クラウドの知識:主要なクラウドサービスの特徴や基本的な使い方
- トラブル対応力:障害が起きたときに、落ち着いて原因を切り分けて対処する力
- コミュニケーション力:チームやお客様と状況を共有し、連携して作業を進める力
最初からすべてを身につけている必要はありません。まずはLinuxとネットワークの基礎から学び、実務の中で少しずつ知識を広げていけば大丈夫です。
IT業界に詳しいアドバイザーが、求人選びから面接対策までサポート未経験からのエンジニア転職を無料で相談する無料で相談する ›未経験者がインフラエンジニアを目指しやすい理由
インフラエンジニアが未経験者の入り口として選ばれやすいのには、いくつかの理由があります。
手順が決まっている業務から始められる
運用・監視の業務は、あらかじめ用意された手順書に沿って進めるものが多くあります。いきなり高度な判断を求められることは少ないため、業務を覚えながら着実に知識を身につけていくことができます。
資格で知識を証明しやすい
インフラ分野には、ネットワークの「CCNA」、Linuxの「LinuC」、クラウドの「AWS認定」など、体系的に学べる資格が数多くあります。資格の勉強を通して基礎を固められるうえ、取得すれば学習意欲を企業にアピールする材料にもなります。
幅広いキャリアにつながる
インフラの知識は、どのITシステムにも必要とされる土台の知識です。インフラエンジニアとして経験を積んだあと、クラウドやセキュリティの専門家を目指したり、開発の分野へ移ったりと、その後のキャリアの選択肢が広がります。
インフラエンジニアのやりがいと大変なこと
仕事を選ぶうえでは、魅力だけでなく大変な面も知っておくことが大切です。
やりがい
インフラエンジニアの大きなやりがいは、多くの人が使うサービスを支えている実感を持てることです。自分が構築したシステムの上で、たくさんの人がサービスを利用している様子を見ると、責任の大きさとともに達成感を味わえます。また、身につけた技術は業界や企業を問わず通用するため、経験を積むほど自分の市場価値が高まっていく点も魅力です。
大変なこと
一方で、システムに障害が起きたときには、迅速な対応が求められます。サービスが止まるとお客様に大きな影響が出るため、緊張感のある場面もあるでしょう。また、IT技術は日々進歩しているため、新しい技術を学び続ける姿勢も欠かせません。ただ、障害対応はチームで協力して行うのが基本です。経験を重ねるうちに、落ち着いて対処できるようになっていきます。
未経験からインフラエンジニアになるためのステップ
STEP1:Linuxとネットワークの基礎を学ぶ
まずは書籍やオンライン学習サービスを使って、Linuxの基本的なコマンドや、ネットワークの仕組みを学びましょう。IT全般の基礎を固めたい場合は、「ITパスポート試験」や「基本情報技術者試験」の勉強から始めるのもおすすめです。
STEP2:実際に手を動かしてみる
知識を身につけたら、実際に環境を作ってみることが大切です。自分のパソコンに仮想環境を用意してLinuxを動かしてみたり、クラウドサービスの無料枠を使ってWebサーバーを立ち上げてみたりすると、学んだ内容の理解がぐっと深まります。
STEP3:資格の取得にチャレンジする
基礎が身についたら、CCNAやLinuCなどの資格取得を目指しましょう。資格の勉強は、知識を体系的に整理するのに役立ちます。面接では、資格そのものだけでなく「どのように勉強を進めたか」を伝えることで、学習意欲や継続力をアピールできます。
STEP4:研修制度のある企業に応募する
未経験からの転職では、入社後の研修やサポート体制が充実している企業を選ぶことが大切です。研修の期間や内容、未経験から入社した先輩社員の実績などを確認し、安心して成長できる環境を選びましょう。
よくある質問
文系出身でもインフラエンジニアになれますか?
はい、なれます。インフラエンジニアの仕事で必要になるのは、高度な数学の知識よりも、仕組みを順序立てて理解する力や、手順を正確に守る几帳面さです。文系出身で活躍しているインフラエンジニアも数多くいます。
プログラミングはできないといけませんか?
インフラエンジニアの業務では、開発エンジニアほど本格的なプログラミングを求められることは多くありません。ただし、作業を自動化するための簡単なスクリプトを書く場面はあります。また、クラウドの分野では、インフラの構成をコードで管理する手法も広がっています。最初から必須ではありませんが、経験を積みながら少しずつ学んでいくと、活躍の幅がさらに広がるでしょう。
まとめ
インフラエンジニアは、ITサービスを裏側から支える、社会にとって欠かせない仕事です。運用・監視など手順の決まった業務から経験を積めるため、未経験からでも目指しやすい職種といえます。
まずはLinuxやネットワークの基礎を学び、実際に手を動かしながら理解を深めていきましょう。「自分にインフラエンジニアが向いているかわからない」「研修制度のある企業を知りたい」という方は、ぜひTECH STARTのアドバイザーにご相談ください。あなたに合ったキャリアの第一歩を一緒に考えます。

