「未経験からエンジニアを目指すなら、基本情報技術者試験を取ったほうがいいのだろうか」「難しいと聞くけれど、どれくらい勉強すれば合格できるのだろう」と迷っている方は多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、基本情報技術者試験はITエンジニアとして働くための基礎知識を体系的に身につけられ、転職活動では「学習意欲と基礎力の証明」として評価されやすい資格です。ただし、資格だけで内定が決まるわけではないため、目的を持って計画的に取り組むことが大切です。
この記事では、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の公式情報をもとに、基本情報技術者試験の概要と試験制度、難易度と合格率、ITパスポートとの違い、未経験者向けの勉強時間の目安と進め方、転職での評価のされ方までを解説します。
この記事でわかること
- 基本情報技術者試験の概要と、情報処理技術者試験の中での位置づけ
- 科目A・科目Bの試験構成、合格基準、受験料(2026年10月時点)
- 公表されている合格率と、未経験者にとっての難易度
- 未経験者の勉強時間の目安と、おすすめの勉強の進め方
- 転職活動での評価のされ方と、取得後のキャリア
目次
1. 基本情報技術者試験とは?
基本情報技術者試験(略称:FE)は、ITエンジニアとして働くために必要な基本的な知識・技能を問う国家試験です。プログラミングの考え方やネットワーク、データベース、情報セキュリティ、プロジェクトマネジメントなど、IT業務の土台となる知識を幅広く学べることから、「エンジニアの登竜門」と呼ばれることもあります。
1-1. IPAが実施する国家試験
基本情報技術者試験は、経済産業省が所管する独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施している「情報処理技術者試験」の試験区分のひとつです。合格者には経済産業大臣署名の合格証書が交付されます。
IPAの試験要綱では、基本情報技術者試験の対象者像を「ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者」としています。つまり、ITを使う側ではなく、ITのシステムやサービスを「作る側」の入り口に立つための試験といえます。
期待される役割としては、上位者の指導の下でシステムの設計・開発や運用に参加できること、上位者の方針を理解して自らプログラムを作成できることなどが挙げられています。未経験からエンジニアとして入社した方が、最初の数年で担当する業務と重なる部分が多い内容です。
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1-2. 情報処理技術者試験の中での位置づけ
情報処理技術者試験には、ITを活用するすべての社会人を対象としたITパスポート試験から、専門分野ごとの高度試験まで、複数の試験区分があります。IPAの試験区分一覧では、それぞれ次のように位置づけられています。

- ITパスポート試験:ITを活用するすべての社会人に必要な共通的な知識
- 情報セキュリティマネジメント試験:ITの安全な利活用を推進する人に必要な基本的な知識・技能
- 基本情報技術者試験:情報処理技術者(ITエンジニア)に必要な基本的な知識・技能
- 応用情報技術者試験:情報処理技術者に必要な応用的な知識・技能
- 高度試験:ネットワーク、データベース、プロジェクトマネジメントなど、専門分野ごとの高度な知識・技能
試験要綱では、基本情報技術者試験は「共通キャリア・スキルフレームワーク」のレベル2(基本的知識・スキルを有し、一定程度の難易度又は要求された作業について、その一部を独力で遂行できる)に相当するとされています。ITエンジニア向けの試験としては最初のステップにあたり、ここから応用情報技術者試験、高度試験へとステップアップしていく流れが一般的です。
2. 基本情報技術者試験の試験制度(2026年10月時点)
ここからは、試験の仕組みを具体的に見ていきましょう。以下の内容は、2026年10月時点でIPA公式サイト(試験区分のページ、試験要綱Ver.5.6、受験申込みのページなど)で確認できた情報です。試験制度は変更されることがあるため、受験前にはIPA公式サイトで最新情報を確認してください。
2-1. CBT方式で通年実施
基本情報技術者試験は、CBT(Computer Based Testing)方式で実施されています。CBT方式とは、全国の試験会場に設置されたパソコンで解答する方式です。
かつては春期・秋期など年2回の決まった日程で実施されていましたが、現在は年間を通じて随時申込み・受験ができる仕組みになっています。自分の学習の進み具合や仕事の都合に合わせて、受験する日時と会場を選べるのが大きなメリットです。
なお、身体の不自由などでCBT方式での受験が難しい方向けに、筆記方式の特別措置試験も年2回実施されています(申込みには証明書類が必要です)。
2-2. 科目A・科目Bの出題数と試験時間
基本情報技術者試験は、知識を問う「科目A」と、技能を問う「科目B」の2つで構成されています。2つの科目は同じ日に続けて実施され、CBT方式では科目Aの終了後、科目Bを始めるまでに最長10分の休憩を取ることができます。

| 項目 | 科目A | 科目B |
|---|---|---|
| 試験時間 | 90分 | 100分 |
| 出題数・解答数 | 60問(すべて解答) | 20問(すべて解答) |
| 出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) | 多肢選択式 |
| 問われる内容 | 知識 | 技能 |
| 主な出題分野 | テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の幅広い分野 | アルゴリズムとプログラミング16問、情報セキュリティ4問 |
| 合格基準 | 600点以上/1,000点満点 | 600点以上/1,000点満点 |
科目Aは、コンピュータの仕組みやネットワーク、データベース、情報セキュリティといったテクノロジ分野に加え、プロジェクトマネジメントやサービスマネジメント、経営戦略・法務など、IT業務に関わる知識を幅広く問う試験です。
科目Bは、プログラムの処理の流れを読み取るアルゴリズム・プログラミングの問題が中心です。プログラムは特定のプログラミング言語ではなく、試験用の「擬似言語」で出題されます。残りは情報セキュリティの問題で、具体的な場面設定のもとで適切な対策を考える内容です。
なお、試験要綱によると、科目Aの60問のうち評価に使われるのは56問、科目Bの20問のうち評価に使われるのは19問で、残りは今後出題する問題を評価するために使われます。受験者にはどの問題が該当するかわからないため、すべての問題に全力で取り組む必要があります。
2-3. 合格基準と採点方式
合格基準は、科目Aと科目Bの評価点がそれぞれ600点以上(各1,000点満点)であることです。どちらか一方が基準に届かなければ不合格になるため、片方の得点で他方をカバーすることはできません。
採点は、IRT(Item Response Theory:項目応答理論)という方式に基づいて、解答結果から評価点を算出します。IRTでは問題ごとに決まった配点があるわけではないため、「何問正解すれば合格」と単純に計算することはできません。目安として、どちらの科目も6割程度を安定して取れる力をつけておくことを意識して学習するとよいでしょう。
また、IPAが認定した講座を受講し、修了試験に合格するなどの条件を満たすと、科目Aが免除される「科目A試験免除制度」もあります。対象講座や条件はIPAの公式サイトで公開されています。
2-4. 受験料と申し込み方法
受験手数料は7,500円(消費税込み)です。申込みの大まかな流れは次のとおりです。
- IPAの基本情報技術者試験のページから、CBT方式の申込みサイト(運営は委託先の事業者)へ進む
- 案内に沿って受験者用のアカウントを作成する
- 希望する試験日・時間・試験会場を選んで申し込む
- 受験手数料を支払い、当日は試験会場で受験する
試験日時や会場は会場ごとに異なるため、申込み時に空き状況を確認しましょう。合格発表は所定の発表日に行われ、受験者用のマイページでも結果を確認できます。申込みの細かな手順や支払方法は時期によって変わることがあるため、申し込む前にIPAの受験申込みページを確認してください。
2-5. 2027年度からの新試験制度への移行に注意
2026年10月時点で、受験を考えている方が特に知っておきたいのが、試験制度の見直しです。IPAは2026年3月31日に、2027年度から情報処理技術者試験を新しい試験制度へ移行する方針と、試験区分・出題範囲の案を公表しました。
公表された案では、基本情報技術者試験は2027年度春頃に新制度へ移行し、これまでと同様に通年で実施する予定とされています。また、2026年9月30日には新制度における基本情報技術者試験のシラバス案(Ver.0.1)が掲載されました。いずれも検討段階の内容で、今後変更される可能性があるとされています。
さらに、IPAの案内では、CBT方式の試験は2026年12月28日以降に一時休止する予定とされており、2027年1月以降の試験実施については2026年秋頃に案内するとされています(試験会場によっては、それより前に休止となる場合もあります)。これから受験する方は、受験できる時期と新制度の内容をIPA公式サイトでこまめに確認しながら、学習計画を立てるようにしましょう。
アドバイザーのひとこと「制度が変わるなら、今は勉強しないほうがいいですか?」というご相談をいただくことがあります。新制度でも、アルゴリズムや情報セキュリティ、ネットワークといったITの基礎は、エンジニアとして働くうえで変わらず必要な知識です。試験日程を確認しつつ、基礎固めは先に進めておくと、受験時期がどちらになっても無駄になりにくいですよ。
3. 基本情報技術者試験の難易度と合格率
基本情報技術者試験は、未経験者にとって「簡単ではないけれど、計画的に学習すれば十分に合格を目指せる試験」です。ここでは、公表されている合格率と、未経験者がつまずきやすいポイントを紹介します。
3-1. 公表されている合格率
IPAが公表している統計資料(令和8年3月分)によると、通年試験となった令和5年度以降の基本情報技術者試験の結果は次のとおりです。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和5年度(2023年度) | 121,611人 | 57,278人 | 47.1% |
| 令和6年度(2024年度) | 133,732人 | 54,501人 | 40.8% |
| 令和7年度(2025年度) | 147,186人 | 56,370人 | 38.3% |
出典:IPA「情報処理技術者試験 統計資料 令和8年3月分 基本情報技術者試験」推移表
受験者数は年々増えており、合格率は直近の令和7年度で38.3%でした。受験者のおよそ3人に1人以上が合格している試験ですが、受験者の中にはIT企業で働く社会人や情報系の学生も多く含まれます。IT未経験の方にとっては、数字以上に手ごたえのある試験だと考えておくとよいでしょう。
3-2. 未経験者がつまずきやすいポイント
未経験者が基本情報技術者試験でつまずきやすいのは、主に次の3つです。
- 出題範囲が広い:科目Aはテクノロジ・マネジメント・ストラテジの各分野から出題されるため、覚えることが多く、最初は全体像がつかみにくい
- 科目Bのアルゴリズム問題に慣れていない:プログラミングの経験がないと、擬似言語のプログラムを読んで処理の流れを追うことに時間がかかる
- 2進数などの計算問題が苦手:基数変換や論理演算、確率など、数学的な問題に苦手意識を持つ方も少なくない
特に科目Bは、知識を覚えるだけでは得点しにくく、問題を解く練習の量が結果を左右します。科目Aの暗記に時間をかけすぎて、科目Bの演習が不足するというのは、よくある失敗パターンです。
4. ITパスポートとの違い
未経験の方からよく聞かれるのが、「ITパスポートと基本情報技術者試験、どちらを受けるべきか」という質問です。両者は同じ情報処理技術者試験の区分ですが、対象となる人と難易度が異なります。
4-1. 試験内容・対象者の違い
| 比較項目 | ITパスポート試験 | 基本情報技術者試験 |
|---|---|---|
| 主な対象者 | ITを活用するすべての社会人・学生 | ITのシステムやサービスを作るエンジニア |
| 試験の位置づけ | ITに関する共通的な基礎知識 | 情報処理技術者の基本的な知識・技能 |
| 試験時間 | 120分 | 科目A 90分+科目B 100分 |
| 出題数 | 100問 | 科目A 60問+科目B 20問 |
| 出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) | 多肢選択式(科目Aは四肢択一) |
| プログラミング | 考え方の基礎を問う程度 | 科目Bで擬似言語の読解が中心 |
| 合格基準 | 総合600点以上かつ各分野300点以上(各1,000点満点) | 科目A・科目Bともに600点以上(各1,000点満点) |
| 受験手数料 | 7,500円(税込) | 7,500円(税込) |
※2026年10月時点でIPA公式サイト・試験要綱Ver.5.6で確認した内容です。
大きな違いは、ITパスポートが「ITを使う人」向けの試験であるのに対し、基本情報技術者試験は「ITを作る人」向けの試験であることです。基本情報技術者試験では、プログラムの処理を読み解く力や、システム開発・運用に関する実務寄りの知識が求められるため、難易度は一段上がります。
4-2. 未経験者はどちらから受けるべき?
目指す職種や現在の知識量によって、おすすめの進め方は変わります。
- ITの知識がほとんどなく、何から学べばよいかわからない方:ITパスポートで用語や全体像に慣れてから、基本情報技術者試験に進むと挫折しにくい
- エンジニア職への転職を具体的に考えている方:最初から基本情報技術者試験を目標にし、学習の途中でITパスポートレベルの知識も身につける
- すでにプログラミング学習を始めている方:科目Bに取り組みやすいため、基本情報技術者試験に直接挑戦しやすい
エンジニア職を目指すなら、最終的な目標は基本情報技術者試験に置いておくのがおすすめです。ITパスポートは、そこに向かうための準備として位置づけるとよいでしょう。
未経験からエンジニアを目指す人におすすめの資格5選|選び方と勉強のコツ
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ここからは、未経験の方が基本情報技術者試験の合格を目指すときの勉強時間の目安と、具体的な進め方を解説します。
5-1. 勉強時間の目安
必要な勉強時間は、もともとの知識や学習の進め方によって大きく変わります。IPAが公式に示している目安はありませんが、一般的には次のような幅で語られることが多いです。
| これまでの経験 | 勉強時間の目安(一般論) | 期間のイメージ |
|---|---|---|
| ITの知識・プログラミング経験がほとんどない | 150〜200時間前後、またはそれ以上 | 平日1〜2時間+休日で3〜6か月程度 |
| ITパスポート合格程度の知識がある | 100時間前後 | 2〜3か月程度 |
| プログラミング学習の経験がある | 50〜100時間前後 | 1〜2か月程度 |
あくまで目安であり、個人差が大きい点には注意してください。働きながら学習する場合は、「1日あたりの時間」よりも「毎日続けること」を優先するほうが、結果的に合格に近づきやすくなります。
アドバイザーのひとこと働きながら資格の勉強を続けるのは簡単ではなく、「最初の1か月で息切れしてしまった」という方が多いです。最初から高い目標を立てるより、通勤時間に科目Aの問題を数問解く、夜は30分だけ科目Bの演習をする、といった「小さく続けられる形」をつくるのがコツです。
5-2. おすすめの学習順序
未経験の方には、次の順序で学習を進める方法をおすすめします。

- ステップ1(2〜4週間):入門書や動画で、IT全体の基礎用語と試験の全体像をつかむ
- ステップ2(1〜2か月):科目Aの分野別に学習し、過去問題で知識を定着させる
- ステップ3(並行して1〜2か月):擬似言語の読み方を覚え、科目Bのアルゴリズム問題に慣れる
- ステップ4(2〜4週間):公開問題やサンプル問題を時間を計って解き、本番形式で仕上げる
ポイントは、科目Bの学習を後回しにしないことです。科目Aの学習がひととおり終わってから科目Bに取りかかると、時間が足りなくなりがちです。科目Aの学習と並行して、早い段階から科目Bの問題に触れておきましょう。
IPAの公式サイトでは、基本情報技術者試験の公開問題やサンプル問題が公開されています。学習の仕上げには、こうした公式の問題で出題形式や難易度を確かめておくと安心です。
5-3. 科目Aの対策
科目Aは出題範囲が広いため、すべてを完璧に覚えようとせず、よく出るテーマから優先的に押さえることが大切です。
- まずはテクノロジ系(基礎理論、コンピュータシステム、ネットワーク、データベース、情報セキュリティ)を重点的に学ぶ
- マネジメント系・ストラテジ系は、用語の意味を理解すれば得点しやすい問題も多いため、短時間で一周する
- 参考書を読み込むよりも、過去問題を解いて間違えた箇所を参考書で確認する「問題中心」の学習を意識する
- 2進数や論理演算などの計算問題は、手を動かして解き方のパターンを覚える
科目Aで学ぶネットワークやサーバ、データベースの知識は、入社後にインフラエンジニアや開発エンジニアとして働く際にも直接役立ちます。「試験のための暗記」ではなく、「仕事で使う知識の予習」と考えると、学習のモチベーションも保ちやすくなります。
5-4. 科目Bの対策
科目Bは、未経験者にとって最大の山場です。次のポイントを意識して対策を進めましょう。
- 擬似言語の書き方に慣れる:変数の宣言、条件分岐、繰返し処理、配列などの基本的な書き方を最初に覚える
- トレース(処理を1行ずつ追うこと)を練習する:変数の値が処理ごとにどう変わるかを、紙に表を書いて追いかける習慣をつける
- 定番のアルゴリズムを理解する:探索(線形探索・二分探索)、整列(ソート)、スタックやキューなどのデータ構造は、考え方を説明できるレベルまで理解する
- 情報セキュリティの4問で得点を積み上げる:科目Aで学んだセキュリティの知識が土台になるため、事例問題で知識の使い方を練習する
- 時間配分を意識する:100分で20問を解くため、1問あたり5分程度が目安。悩む問題は後回しにする
プログラミング言語を少しでも触ったことがあると、擬似言語の理解はぐっと楽になります。PythonやJavaScriptなどで簡単なプログラムを書いてみるのも、科目B対策として効果的です。
アドバイザーのひとこと科目Bで伸び悩む方の多くは、「解説を読んで理解したつもり」で終わっています。同じ問題でも、数日後にもう一度自分の手でトレースしてみると、意外と解けないことがあります。解けなかった問題は印をつけて、繰り返し解き直すのがおすすめです。
6. 基本情報技術者試験は転職で評価される?
未経験からのエンジニア転職において、基本情報技術者試験は評価されやすい資格のひとつです。ただし、評価のされ方には特徴があり、過信は禁物です。
6-1. 評価されやすいポイント
未経験者の採用では、実務経験がないぶん、「入社後に成長できる人かどうか」が重視される傾向があります。基本情報技術者試験は、次のような点でプラスに評価されやすい資格です。
- ITの基礎知識を体系的に学んだ証明になる:ネットワーク、データベース、セキュリティ、開発工程など、入社後の研修やOJTの内容を理解しやすい土台があると伝わる
- 自分で学び続ける姿勢が伝わる:働きながら、または転職活動と並行して国家試験に合格したことは、主体的に学習できることの裏付けになる
- エンジニアへの本気度が伝わる:ITパスポートよりもエンジニア寄りの内容であるため、「なんとなく」ではなく、職種を理解したうえで目指していることを示せる
- 入社後の資格取得目標と重なる:企業によっては、入社後に基本情報技術者試験の取得を推奨していたり、資格手当の対象にしていたりすることがある
特に、未経験OKの求人に応募する場合、応募書類の資格欄に記載できる国家試験があることは、書類選考で目に留まりやすい要素のひとつになります。
6-2. 資格だけで内定が決まるわけではない
一方で、基本情報技術者試験に合格したからといって、それだけで内定が決まるわけではありません。採用担当者は資格そのものよりも、次のような点をあわせて見ています。
- なぜエンジニアを目指すのか、志望動機に一貫性があるか
- これまでの仕事で培ったコミュニケーション力や課題解決の経験
- 資格の勉強を通じて何を学び、入社後にどう活かしたいか
- プログラミング学習やポートフォリオなど、資格以外の行動
また、資格の取得を待ってから転職活動を始めようとして、応募のタイミングを逃してしまうケースもあります。「合格してから動く」ではなく、「学習中であることもアピールしながら並行して動く」という考え方も大切です。学習中の段階でも、応募書類や面接で「現在、基本情報技術者試験の合格に向けて学習中」と伝えれば、学習意欲を示すことができます。
面接では、資格について「なぜ取ろうと思ったのか」「勉強で苦労したことは何か」と質問されることもあります。面接で聞かれやすい質問と答え方は、未経験エンジニアの面接でよく聞かれる質問で詳しく解説しています。
アドバイザーのひとこと「資格を取ってから応募したほうが有利ですよね?」と聞かれることがよくあります。資格はプラスになりますが、合格を待つ間に希望に合う求人の募集が終わってしまうこともあります。学習中であることも十分なアピール材料になるので、まずは求人を見ながら、転職活動と学習を並行させる計画を一緒に考えてみましょう。
未経験エンジニアの志望動機の書き方|採用担当者に伝わるポイントと例文
7. 基本情報技術者試験の取得後のキャリア
基本情報技術者試験で学ぶ知識は幅広いため、合格後はさまざまな職種で活かすことができます。ここでは、目指しやすい職種と、次のステップとなる資格を紹介します。
7-1. 目指しやすい職種
基本情報技術者試験の知識は、特に次のような職種で活かしやすいです。
- 開発エンジニア(プログラマー):科目Bで身につけたアルゴリズムの考え方や、開発工程の知識がそのまま役立つ
- インフラエンジニア:ネットワーク、サーバ、データベースの基礎知識が、設計・構築・運用の業務の土台になる
- 運用監視・運用保守エンジニア:システムの仕組みや障害対応の基本を理解していると、手順書の内容や障害の背景を把握しやすい
- ITヘルプデスク・社内SE:幅広いIT知識があることで、利用者からの問い合わせにも落ち着いて対応しやすい
未経験からの入社後は、運用監視やテスト、ヘルプデスクなど、手順が整った業務から経験を積み始めることも多くあります。そこから開発や設計・構築へとステップアップしていく際にも、基本情報技術者試験で学んだ知識が役立ちます。
【図解】ITエンジニアの職種一覧|未経験から目指しやすい職種と仕事内容・年収の目安
7-2. 次に目指したい資格
基本情報技術者試験に合格した後は、目指すキャリアに合わせて次の資格に挑戦するのがおすすめです。
- 応用情報技術者試験:基本情報技術者試験の上位にあたる試験。より応用的な知識と、記述式の問題への対応力が求められる(2027年度からは、高度試験とあわせて新しい試験区分に再編される予定とされています)
- ネットワークやサーバ、クラウドの資格:インフラエンジニアを目指すなら、Linux、ネットワーク、AWSなど分野別の資格で専門性を高める
- 情報セキュリティ関連の資格:セキュリティ分野に関心があるなら、情報セキュリティマネジメント試験や上位のセキュリティ資格を目指す
ただし、入社後は資格の勉強だけでなく、実務での経験を積むことが何より大切です。実務で経験したことを資格の学習で体系的に整理し、資格で学んだことを実務で試すというサイクルを回すと、エンジニアとしての成長が早まります。
未経験から入社したエンジニアのキャリアパス|成長のステップと将来の選択肢
8. よくある質問
最後に、基本情報技術者試験について未経験の方からよく寄せられる質問にお答えします。
8-1. IT未経験でも基本情報技術者試験に合格できますか?
IT未経験からでも合格を目指せる試験です。受験資格に制限はなく、年齢や学歴、実務経験に関係なく受験できます。ただし、出題範囲が広く、科目Bではアルゴリズムの読解力も求められるため、数か月単位で計画的に学習する必要があります。基礎用語の理解から始め、科目Bの演習を早めに取り入れることが合格への近道です。
8-2. ITパスポートを受けずに基本情報技術者試験から受けてもいいですか?
問題ありません。ITパスポートの合格は、基本情報技術者試験の受験条件ではありません。エンジニア職を目指しているなら、最初から基本情報技術者試験を目標にするのも有力な選択肢です。ただし、ITの用語にまったくなじみがない場合は、ITパスポートの範囲から学び始めると全体像をつかみやすくなります。
8-3. 文系出身でも合格できますか?
文系出身の方でも合格を目指せます。科目Aには、経営戦略や法務、プロジェクトマネジメントなど、文系の方がなじみやすい分野も含まれています。2進数や論理演算、アルゴリズムなどに苦手意識がある場合は、解き方のパターンを覚え、繰り返し手を動かして練習することで、少しずつ慣れていくことができます。
8-4. 基本情報技術者試験に合格していないとエンジニアに転職できませんか?
資格がなくても、未経験からエンジニアに転職することは可能です。未経験OKの求人では、資格の有無よりも、学習意欲やコミュニケーション力、エンジニアを目指す理由などが重視される傾向があります。資格はあくまでアピール材料のひとつと考え、学習中であることも含めて伝えながら転職活動を進めるとよいでしょう。
8-5. 新しい試験制度に変わると、今の勉強は無駄になりますか?
無駄になるとは限りません。IPAが公表した案では、基本情報技術者試験は2027年度春頃に新制度へ移行し、通年での実施が続く予定とされています。出題範囲の体系などは見直される可能性がありますが、アルゴリズムやネットワーク、データベース、情報セキュリティといったITの基礎は、エンジニアとして働くうえで引き続き必要な知識です。受験時期に合わせて、IPAが公開するシラバスやサンプル問題で最新の出題範囲を確認しましょう。
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